「昼食後は何とか乗り切れても、夕方になると急に眠気が襲ってくる」「しっかり寝ているはずなのに、午後の会議で集中できない」――夕方の眠気は単なる気の緩みではなく、睡眠負債の蓄積や生体リズムなど、さまざまな要因が複合的に関わっている。
この記事では、睡眠専門医に聞いた、夕方に眠くなる原因や眠気を感じたときの対処法、毎日の睡眠リズムを整えて眠気を予防する習など詳しく解説する。
この記事の監修者

井坂 奈央さん
Dクリニック東京ウェルネス睡眠センター長
夕方になると急に眠くなるのはなぜ?

- 普段の睡眠時間が足りていない
- 睡眠の質が低い
- 睡眠のリズムが乱れている
- 血糖値の急激な変動による影響
- ストレスや緊張によって脳が疲れている
普段の睡眠時間が足りていない
普段の睡眠時間が短いと、睡眠負債が蓄積され「パフォーマンスの低下」「疲労感」「日中や夕方の眠気」など、さまざまな悪影響を及ぼす。
また、6時間睡眠を10日間ほど、4時間睡眠を6日間ほど続けると、徹夜したときと同じくらい効率が低下するとされている。個人差はあるものの、できれば7時間半~8時間は睡眠時間を確保したい。

夜間、途中覚醒をしたときに注意が必要なのがスマートフォンを見ることです。ブルーライトも原因の1つですが、SNSやメールなどを閲覧することで覚醒が生じてしまい、寝つきが悪くなります。
睡眠の質が低い
睡眠の量と同じくらい重要なのが睡眠の質。
| 光(明るさ) |
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| 音 |
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| 温度と湿度 |
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光による悪い影響を防ぐには、就寝前はもちろん、夕方以降もできるだけ暖色系の明かりで過ごし、強い光を浴びないようにすることが大切。
一方、起床後に太陽の光を浴びることで体内時計が整い、幸せホルモンの「セロトニン」や、やる気や集中力に関わる「ドーパミン」などの神経伝達物質の生成が促進される。また、太陽の光を浴びてから14~16時間後には、自然な眠気を促す「メラトニン」が分泌される。

入眠前のカフェイン、アルコール、ニコチンの摂取も睡眠の質を低下させます。とくにカフェインやアルコールは個人差はあるものの、5~6時間は体内に残るとされています。
夜のお酒をやめるのは難しいと思うので、飲み過ぎないようにする・できるだけ早い時間に済ませるなど、可能な範囲で工夫してみましょう。
睡眠のリズムが乱れている
起床・就寝時刻がバラバラだったり、平日と休日の睡眠時間に2時間以上の差があると、時差ボケのような状態になる。

休日に長く眠る場合は、睡眠の中央値(就寝時刻と起床時刻の真ん中の時刻)をずらさないようにすると、「時差ボケ」の状態を軽減できる。
血糖値の急激な変動による影響

昼食時のドカ食いは血糖値を急激に上昇させる。大量に食べると急激に上昇した血糖値を下げるために、インスリンが大量に分泌される。この血糖値の急激な変化を「血糖値スパイク」と呼び、食後の眠気やだるさなどの原因となる。
血糖値スパイクを抑えるには腹八分目に抑えることや、3食(朝・昼・夜)の摂取カロリーのバランスを調整して、食べ過ぎや偏りを防ぐことが大切。
ストレスや緊張によって脳が疲れている

仕事のストレスや緊張が続いてしまうと、いわゆる過覚醒・過緊張の状態となり、就寝時間になっても「交感神経優位」のままになってしまい、入眠や睡眠の質に悪影響を及ぼす。
忙しい中でも「湯船にじっくり浸かる」「ストレッチやヨガで身体をほぐす」「アロマやヒーリングミュージックを取り入れる」など、自分なりのリラックスできる時間をつくることが大切。

ベッドの中に入ってもなかなか眠れないときは、一旦ベッドから出て過ごすことが良いとされています。単調に感じる本を読むなどして脳を刺激しないようにしながら、自然と眠くなるのを待ちます。
夕方に眠くなったときの対処法

夕方までの長い間、同じ姿勢で仕事を続けていると血流が悪くなり、脳への酸素が不足する。いったん作業を中断して「軽く身体を動かす」「軽く目をつむってぼーっとする」など、気分転換をしよう。
| 身体を動かす |
※身体を動かすことで血流が改善される |
| 冷たい水で顔や手を洗う | 三叉神経が刺激され、脳に信号が送られて覚醒度と集中力が高まる |
| ガムを噛む | 注意力、ストレス調整、記憶に関連する脳領域が活性化する |
| リラックスする |
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また、ガムを噛むなどの「咀嚼行為」は、脳の海馬や前頭葉を刺激することもわかっている。逆に「スマホを触る」「SNSや動画を見る」といった行為は、脳に情報処理の負荷を与えるので、休憩としてはおすすめできない。
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多忙なビジネスパーソンの日常に「ガンマ波サウンド」という選択肢
会議や資料確認、判断を求められる場面が続く1日。気づけば頭が切り替わらないまま、仕事を進めていることも少なくない。そんな日々の中で、集中に向かうきっかけとして意識してみたいのが「音」。
ガンマ波サウンドは、脳波の周波数のひとつとされる「ガンマ波」に着目した音のテクノロジー。ガンマ波は、思考や情報処理、集中と関係がある脳波とされ、研究が進められている。ガンマ波サウンドは、いつもの音にガンマ波変調技術という特殊な加工を施すことで、ガンマ波を誘発・同期させることができる。
仕事に取りかかる前、音を聞く。それは、無理に集中力を引き出すのではなく、仕事モードへと静かに切り替えるための時間。年齢を重ねたからこそ、頑張りを足すのではなく、整えるという選択をしてみては。
夕方に眠くなるのを改善するための対策・習慣

- 毎日の睡眠リズムを固定する
- 朝に太陽の光を浴びる
- 計画的な仮眠を取る
- 日中にしっかりと身体を動かす
毎日の睡眠リズムを固定する

睡眠の量や質に加えて毎日の起床・就寝時間を整えることで、日中はしっかり脳が覚醒し、夜になると自然な眠気が訪れるようになり、生活のリズムにメリハリが生まれる。
そして、夜にしっかり休むことで日中の覚醒度が高まるというよい循環をつくることができる。

夜勤の方には、サングラス等で光を避けて帰宅する(光が目に入ると入眠の妨げになるため)ことをすすめています。
朝に太陽の光を浴びる

起床後に太陽の光を浴びることで「幸せホルモンのセロトニン」「やる気や集中力に関わるドーパミン」の生成が促進されることで脳の覚醒度が上がり、日中や夕方の眠気改善にもつながる。
また、朝に光を浴びてからおよそ14~16時間後に睡眠ホルモンである「メラトニン」が脳内で分泌され、スムーズな睡眠につながる。生体リズムのリセットだけでなく、夜のスムーズな入眠のためにも朝は積極的に日の光を浴びよう。

朝の覚醒を高めるには、朝食に硬いものを食べるのがおすすめです。よく噛んで食べる(咀嚼)ことによって脳の目覚めがよくなり、日中の覚醒を高めてくれます。
計画的な仮眠を取る

仮眠は疲労や判断力、集中力の回復が見込め、パフォーマンス向上につながる。ただし、遅い時間に仮眠を取ると夜の睡眠に影響を及ぼすので、「15時まで」「20〜30分以内」のポイントを意識するようにしよう。
仕事が忙しい・リズムがバラバラなどの理由で夜の睡眠時間が短くなってしまう場合は、日中に2〜3時間の睡眠を取って合計睡眠時間を調整するのも1つの方法。
夜の睡眠に悪影響が出ないかを確認しながら、自分に合った方法を見つけることが大切。

すっきり目覚めるには、仮眠の前にカフェインを摂取するのがおすすめです。カフェインを摂取すると、30分前後で覚醒効果が高まります。このタイミングに合わせることで、スムーズに目覚めることができます。
日中にしっかりと身体を動かす

オフィスワーク等で長時間座っていると脳への酸素が不足して、集中力の低下や眠気につながる。また、身体を動かさないと脳ばかりが疲れてしまい、睡眠の質も低下させてしまう。
30~60分に1回は立ち上がって軽く歩く・ストレッチをするなどして身体を動かすようにしよう。また、通勤時はエスカレーターではなく階段を使うなど、普段の生活の中で動く時間を長くすることも大切。

就寝前に激しい運動や筋トレをすると交感神経の活動が優位になり、入眠に悪影響を及ぼすので、できるだけ20時までに済ませるようにしましょう。
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今ある習慣に組み合わせたい「ガンマ波サウンド」
散歩をする・読書をする・マインドフルネスをする。日々の中で自然と続いている、ささやかな「習慣」。こうした習慣を丁寧に続けていくことや他の習慣と組み合わせることで、生活の質を高めることにつながる。今ある習慣に別の習慣を組み合わせるやり方として、具体的におすすめなのが「ガンマ波サウンド」という音を聞く習慣。
ガンマ波サウンドは、脳波の周波数のひとつとされる「ガンマ波」に着目した音のテクノロジー。特別な準備を必要とせず、いつもの習慣に音を重ねるだけ。散歩をしながら、読書をしながら、マインドフルネスをしながら。音を聞くという行為を加えることで、日々のルーティンに新しい輪郭が生まれる。
年齢を重ねるにつれ、生活や仕事のリズムは少しずつ変わっていく。だからこそ、無理に何かを変えるのではなく、続けられる形で習慣を整えていくことが大切。ガンマ波サウンドは、日常の延長線上で取り入れられる存在として、毎日の習慣にそっと寄り添っている。
夕方の眠気はどこまでが普通でどこから要注意?

睡眠圧や生体リズムの関係で、14~17時くらいに生理的な眠気が訪れる。そのため、お昼過ぎ~夕方くらいに眠気を感じることは自然な現象といえる。
| 一般的な夕方の眠気 |
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| 注意が必要なケース |
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ただし「大事な場面(運転中・高所での作業中など)で眠ってしまう」「自分でコントロールできない」「しっかり眠っているのに眠い」といった症状が見られる場合は、睡眠障害の可能性も指摘される。

日本における睡眠時無呼吸症候群の潜在患者は900万人(12~15人に1人)くらいと言われています。しかし、実際に治療を受けている方は70万人ほどです。
眠気を軽視せず、仕事や日常生活に支障をきたす場合は、睡眠外来に相談してみてください。
夕方の眠気がひどい場合に考えられる病気

- 睡眠時無呼吸症候群
- ナルコレプシー
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸が一時的に止まったり、浅くなったりする睡眠障害の一種。

睡眠時無呼吸症候群は、無呼吸低呼吸指数(AHI)と呼ばれる「一晩の睡眠を通して、1時間あたりの無呼吸と低呼吸(呼吸が浅くなる状態)」の頻度をもとに診断される。
| 軽症 | AHIが5~15回 |
| 中等症 | AHIが15~30回 |
| 重症 | AHIが30回以上 |
睡眠時無呼吸症候群により中途覚醒、血中酸素濃度の低下が起こることで睡眠の質が下がり、日中の眠気が起こる。また、睡眠時無呼吸症候群は日中の眠気や倦怠感といった症状だけでなく、さまざまな疾病のリスクが増加することもわかっている。
【慢性期のリスク】
- 高血圧 :健常人の1.37倍
- 糖尿病 :健常人の1.62倍
- 脳卒中 :健常人の3.3倍
- 心不全 :健常人の2倍
- 夜間突然死 :健常人の2.61倍
- 認知障害 :健常人の1.5倍
睡眠時無呼吸症候群のおもな原因として肥満が上げられることが多いが「顎が小さい」「小顔」などの骨格的な要因や「鼻炎」や「花粉症」など、さまざまな要因があげられる。
【睡眠時無呼吸症候群になりやすい人】
- 肥満体型
- 顎が小さい
- 下あごが後退している
- 喉が狭い
- 口呼吸をしている
- 鼻詰まりがある→口呼吸
- 両親や兄弟がSAS

睡眠時無呼吸症候群は男性に多く見られますが、女性の場合は女性ホルモンの関係で、更年期以降に増加する傾向にあります。
ナルコレプシー
ナルコレプシーは夕方に限らず、日中の過度の眠気や、自分でコントロールできない眠気が繰り返し起こる睡眠障害の一種。
約2,000人に1人の割合で発症するとされており、オレキシンという「睡眠と覚醒の調整に関わる神経伝達物質」の不足が関係しているとも言われているが、くわしい原因は研究が進められている最中である。
夕方の眠気に関するQ&A

最後に、夕方の眠気や睡眠に関する疑問について、睡眠専門医の井坂先生に伺った。
夕方の眠気と更年期に関連性はある?
A.更年期になると、入眠困難や中途覚醒といった睡眠の悩みを抱える方が増える傾向にある。

「エストロゲン」や「テストステロン」といったホルモンのバランスが乱れることや、「ホットフラッシュ」のような身体的な症状、「イライラ」「気分の落ち込み」などの精神的な症状も、睡眠を妨げる要因となります。
夕方に寝てしまった日の夜の過ごし方は?
A.基本的な過ごし方は一緒

基本的に過ごし方を変える必要はないですが、室内照明はなるべく暗めにし、間接照明や暖色系の明かりで過ごすことで、自然な眠気を誘発することが可能です。
どうしても眠れない場合は無理に寝ようとせず、眠くなってから布団へ入るようにしましょう。
睡眠の悩みはどこに相談すればいい?
A.まずは睡眠専門医に相談を

睡眠の悩みは「睡眠時無呼吸症候群」「過眠症」「不眠」など、症状によって窓口は異なります。
原因や症状がよくわからない場合は、日本睡眠学会のホームページなどで、お住まいの地域の睡眠専門医を調べることができます。専門医の先生に相談すると、症状に合わせてどこを受診すればいいかアドバイスがもらえるかと思います。

日本睡眠学会総合専門医、日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医
東京慈恵会科大学耳鼻咽喉科に入局後、大学病院勤務を続けながら医学博士を取得。
身近により多くの睡眠問題と向き合うため、Dクリニック東京ウェルネスで睡眠外来を行う。
睡眠外来のサイト:https://www.sleep-clinic.jp/