
2027年3月(予定)、群馬県・草津町に新たに誕生する「東急ハーヴェストクラブ草津&VIALA」(2025年6月現在 第1次会員募集中)。
本施設は「自然を想い、地域と、訪れる人とともに。」をコンセプトに掲げ、自然と地域、そして訪れる人との関係性を見つめ直すリゾートとして、「Healing Green」という心身を深く癒す新たな滞在スタイルを創り上げている。
開業に先立ち、慶應義塾大学教授の宮田裕章氏、ライフスタイリストの大田由香梨氏、そして東急不動産の蛭田俊之氏による座談会を開催。
本記事ではその内容をもとに、「癒し」や「地域との関係性」を再定義するウェルビーイング視点から、施設の魅力を紐解いていく。

宮田 裕章さん
慶應義塾大学 医学部 教授/Welluluアドバイザー

大田 由香梨さん
ライフスタイリスト
神奈川県出身。ファッションスタイリストを経て、2009年より人の営みに必要な衣食住のスタイリングを行うライフスタイリストとして活動。プラントベースフードブランド「LOVEG」のプロデュース、店舗、オフィスのデザイン、公園の開発など多岐にわたる活動を通して、サステナブルで美しい未来の循環型のライフスタイルを提案している。
本施設では、サステナブルなパーソナライズ体験の設計と、美しくゆとりのある空間をプロデュース監修。

蛭田 俊之さん
東急不動産株式会社 ウェルネス事業ユニットホテル・リゾート事業本部 ハーヴェスト事業部
1997年東急不動産に入社。外資系リゾートホテル・東急ステイ・東急ハーヴェストクラブの開発グループリーダー等を歴任し2023年より現職。新規のホテル開発に加え、既存施設のバリューアップや会員価値向上の取組み、地域に根付く持続可能な新たな事業の計画も手掛ける。
なぜ今、草津なのか?
草津町は日本有数の温泉地として知られ、その泉質の良さや豊かな自然環境が多くの人々を魅了してきました。特に草津温泉は、強酸性の源泉が特徴で、古くから湯治場として親しまれてきた名湯です。街の中心に位置する湯畑をはじめ、足湯や顔湯、立ち寄り湯を巡ることで、草津ならではの温泉文化を堪能できます。また、2,000m級の三国山脈に囲まれたこの地は、夏でも涼しく快適に過ごせる気候が特徴で、四季折々の美しい風景が楽しめます。
このような草津の特性は、現代のリゾート開発において理想的な条件を備えています。自然環境を活かしながら、訪れる人々に「深い癒し」と「新しい体験価値」を提供する場として、草津は最適な場所と言えるでしょう。さらに、地域の魅力を最大限に引き出し、持続可能なリゾート地としての未来を築くことが、このプロジェクトの重要な目的となっているのです。
「Healing Green」が目指す、“新しい滞在体験”の本質

「Healing Green」は、草津の自然・文化・風土を感じる体験をしながら自分自身を整える滞在スタイルです。
その要となるのが、4つのカテゴリ「美容」「美食」「健康」「温泉・サウナ」で構成されたプログラム。事前のアンケートと併せて、アサヒグループホールディングス株式会社とともに研究開発した最新のセンシングシステムにより、その時々の滞在テーマと、体のコンディションに適したプランを提供します。
ウェルビーイングにおいて大切な“多様性”に配慮した、「一人ひとりの体調や気分に寄り添う」滞在体験を通じて、訪れる人が自然と地域とともに時を重ねることで、豊かな関係性が生まれていきます。
また、「Healing Green」の象徴ともいえる「VIALA草津Retreat green」では、草津の自然と気候風土を取り入れたサステナブルな建築デザインを採用。高低差を活かした円環状の配置や、自然素材を用いた温もりある設計が、自然の豊かさを享受できる自然に寄り添う空間を実現しています。
夏は風を取り込み涼しく、冬は温泉排熱と陽光を活かして暖をとる——自然との共存を考え抜いた建築は、宿泊者にとっての快適性と環境へのやさしさを両立します。
専門家3人が語る、「Healing Green」が目指す新しい滞在のかたち
ウェルビーイングとしての“リゾートの再定義”
医学・データサイエンスの視点からウェルビーイングを探求する宮田裕章氏は、草津の自然が持つ“癒しの本質”に注目。「Healing Green」の取り組みについて、「訪れることで自分自身が癒されるだけでなく、生態系や地域にも良い影響を与える“本質的な滞在”」と評価し、訪れる人と地域の関係性を根本から変える可能性があると語りました。
また、草津の温泉文化が持つ“共通の入り方”という一体感に対し、「Healing Green Studio」が提案する「一人ひとりに最適化された多様な滞在スタイル(trek)」は、今後ますます重要になる「データの個別化」が現実に根ざしたものとして展開されている好例だとし、「ウェルビーイングにおける“多様性”に寄り添える場所になっている」と期待を寄せています。
未来に続く価値をつむぐ、パーソナライズ滞在
「訪れた人が、来たときよりも良い状態で帰ること」──この理念を軸に滞在設計を担うライフスタイリスト・大田由香梨氏は、「Healing Green」における体験価値について、「施設や建物が同じでも、そこでの過ごし方や価値観は時代とともに変わっていく。その中で未来へ繋がる価値を大切にしていきたい」と語ります。
各分野の専門家やクリエイターと連携しながら生まれる多様な滞在スタイルは、最新技術によって導かれる個別の体験テーマやコンディションに基づくプランとして設計されています。大田氏は「一人ひとり異なるスタイルを持ちながらも、グループとして同じ時間を共有できる点に、心身の充足感が高まる」と、パーソナライズと繋がりの両立に手応えを感じているようです。
自然と共にあるリゾート開発の“次なる挑戦”
東急不動産の蛭田俊之氏は、「Healing Green」が掲げるコンセプトと、同社の環境経営ビジョン「WE ARE GREEN」との連動について言及。「これまでのリゾート事業は自然の美しさを活かすことに重点を置いてきましたが、今回は“どう過ごすか”という体験設計にも深く踏み込んだ、新たなチャレンジです」と語ります。
草津が本来持つ“癒しの力”を引き出し、滞在を通して訪れる人と地域がともに成長できるような関係性を育むことが本プロジェクトの意義。自然環境を尊重した設計や、環境負荷への配慮と快適性の両立などを通じて、「Healing Green」はリゾート開発の“転換点”となり得る新しい取り組みとして、今後の展開が注目されます。
一人ひとりの状態に寄り添う、“自分自身に向き合う”ためのプログラム

「Healing Green」の核となるのが、宿泊者の体調や気分に寄り添いながら提案される体験プログラムです。滞在テーマを伺うアンケートに加え、心と身体の健康状態を評価するセンシングシステムによって、心身のコンディションを可視化。これに基づき、4つのカテゴリで設定された体験が提案されます。
美容:アロマの香りで緊張をほぐし、自律神経を整えます。また、コンディションに合わせたお茶やハーブティーで、内面を整えます。
美食:地域の恵みと、季節ごとの旬の素材を使用し、美味しさだけでなく、内面からの健康や美しさにも考慮した食事をご用意しています。
健康:就寝前や起床時、リラックスタイム等に、ヨガや呼吸法などのマインドフルネスで深いリラクゼーションへと導き、心と体を整えます。また呼吸法で究極のリラックス体験を味わえます。
温泉・サウナ:天然温泉と醸成土などを混ぜ合わせた「Le Furo」のミストサウナや、草津温泉の湯を通じて、体の状態に合った入浴方法や楽しみ方で、体の芯からほぐします。
これらの体験は、単なるリラクゼーションではなく、「その時の自分自身と丁寧に向き合う」ことを目的としています。訪れるたびに新しい発見がある、パーソナライズされた滞在価値がここにはあるのです。
「Healing Green Studio」が描く、癒しと再生の新しい風景
草津という癒しの地を契機に誕生した「Healing Green Studio」は、最新センシングシステムを活用し、一人ひとりの体調や気分に寄り添う“パーソナライズされた滞在”を提案します。
「誰かの正解」ではなく、「自分だけの心地よさ」にフォーカスしたプログラム設計。静かに自然と調和しながら、自分を見つめ直す──そんな旅のかたちは、日々の暮らしにも静かに波紋を広げていきます。
心と体の声を丁寧に聴きながら過ごす時間は、人生の質そのものを見つめ直すきっかけにもなることでしょう。「癒される場所」から、「関わることで癒す場所」へ。
「Healing Green Studio」は、人と地域、人と自然の関係性までも再編集しようとしています。
その営みは、単なる個人のリトリート体験にとどまりません。草津の持つ“癒しのポテンシャル”と、テクノロジーや地域文化の力を融合させながら、地域の活性化・環境への配慮にも静かに貢献するこの場は、「これからの旅と暮らし」をやさしく問いかけているのです。
会員募集のご案内
「Healing Green」の理念に共感し、草津の自然とともに心身を整える特別な体験を味わってみたい方へ。現在、「東急ハーヴェストクラブ草津&VIALA」では第1次会員の募集を開始しております。名湯・草津の魅力と、癒しの滞在スタイルを兼ね備えた新しいリゾートに、ぜひご期待ください。
▶東急ハーヴェストクラブ草津&VIALA 東急ハーヴェストクラブVIALA草津Retreat green 第1次会員募集中
・・・・・・
堂上編集長後記
東急不動産さんから、有識者である宮田教授の名前が挙がり、ご一緒に草津を訪れる機会があったのは、2023年の夏。草津温泉までの交通を考えると、軽井沢から車で行くのが良いという流れになり、宮田さんと軽井沢待ち合わせで、そのまま草津までの道中、いろいろなお話をさせていただいた。
ウェルビーイングな施設をつくるときに、僕たちは「習慣化のデザイン」と「パーソナライズドのデザイン」が重要だというお話をさせていただきつつ、草津ならではの自然豊かな街並みと、岡本太郎氏が遺した言葉は、僕らにずしんと刺さるものだった。
草津の未来をえがく
東京から至近距離にあるにもかかわらず、まだ荒らされていない雄大な自然。神秘的な白根山の頂き、スケールの大きな高原の変化に富んだ美しさ。快適な気候。そして、湧出量の豊富な温泉の町……。
健康のための保養地。また人間解放のレクリエーションの場として、疎外され乾いた現代人の心身をいきいきとよみがえらせる絶好の条件をそなえている。
岡本太郎
僕たちは、忙しさと街の喧騒に終われ、時間・空間・仲間の「ゆとり」や「余白」を持てないでいる。現代人の時間の過ごし方を見透かしたような言葉と同時に、人間解放のレクリエーションの場は、新たな「深い癒し」の場として進化し続けるのだろう。
施設ができてから、またおうかがいするのが楽しみである。
2003年東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻修士課程修了。同分野保健学博士
2025日本国際博覧会テーマ事業プロデューサー
Co-Innovation University(仮称) 学長候補
専門はデータサイエンス、科学方法論、Value Co-Creation。データサイエンスなどの科学を駆使して社会変革に挑戦し、現実をより良くするための貢献を軸に研究活動を行う。
医学領域以外も含む様々な実践に取り組むと同時に、世界経済フォーラムなどの様々なステークホルダーと連携して、新しい社会ビジョンを描く。宮田が共創する社会ビジョンの1つは、いのちを響き合わせて多様な社会を創り、その世界を共に体験する中で一人ひとりが輝くという“共鳴する社会”である。
本施設では、サステナブルでウェルビーイングな滞在視点のアドバイザー。