フローは特別な状態ではなく、誰にでも起こりうる「時間を忘れるほど作業に没頭している心理状態」のこと。フローに入ろうと意識して入るのではなく、不安やイライラといった心のノイズを取り除き、心が整った状態(リソースフル)をつくった結果として自然に訪れる。
この記事では、スポーツ心理学の専門家に聞いたフロー状態に入るための7つの条件や心の状態を整える方法、環境づくりや難易度設定の具体的なコツ、うまく入れないときの対処法を解説する。
この記事の監修者

西田 明さん
メンタルコーチ
フローとはどのような状態?

- フローの基本概念
- フローの種類と持続時間
- フローとゾーンの違い
フローの基本概念

心理学者のミハイ・チクセントミハイ氏が提唱した概念で「時間が経つのを忘れるほど 1つのことに没頭し、周りが気にならなくなるような心理状態」のこと。フローに入りやすい行動や環境、時間帯は人によって異なるので、こうすれば絶対にフローに入れるという方法は存在しない。
また、フローは集中状態に加えて没頭している感覚が非常に重要であるため、どのような作業でも入れるわけではない。
- 集中:基本的にはどのような作業でも集中できる
- 没頭:自分の好きなことや楽しいと感じられることでないと没頭できない
フローの種類と持続時間
フローの持続時間は数秒~数分程度と言われており、一般的には持続時間が短い「マイクロフロー」と持続が長い「ディープフロー」の2種類に分けて説明されることが多い。
| マイクロフロー(Micro Flow) |
|
| ディープフロー(Deep Flow) |
|
ただし、単純に2種類に分類されるわけではなく、フローにはいくつかの段階(レベルのようなもの)がある。より深いフローに入ることで持続時間も長くなり、より高いパフォーマンスを発揮できるようになる。

意図的にフローの持続時間を延ばそうと考えるのではなく、自身のコンディションや環境など、日々の生活や行動を整えていくことで、自然とフローの質を高めることが可能です。
フローとゾーンの違い

ミハイ・チクセントミハイ氏の定義によると、フローとゾーンは本質的に同じ概念。どちらも高度な集中や没頭、パフォーマンスを発揮しているときの心理的状態を指す用語。
ゾーンは主にスポーツや競技の場面で語られることが多いが、フローはスポーツ以外にも創作活動や仕事などの場面でも表現されることが多い。
| ゾーン | スポーツ文脈で用いられることが多い“極度の集中状態” |
| フロー | 日常・仕事・学習を含む“没頭・集中の状態” |
フロー状態に入るメリット

フローに入ることで、判断力や情報処理の速度などのパフォーマンスが向上することがわかっている。
| 反応時間 | 約30%短縮 |
| 判断の速さ | 5~10倍のスピード |
| 情報処理効率 | 約5倍 |
| ミス率 | 約60%減 |
また、フロー状態は幸福度とも正の相関がある。自己決定には以下の5段階があるとされており、フローに入れる活動は最上位の「楽しいからやる」状態に該当する。

フロー状態に入る条件や入りやすい活動

- ミハイ・チクセントミハイ氏が提唱する7つの条件
- 自身のスキルと課題の難易度のバランスが重要
- フロー状態に入りやすい活動の例
ミハイ・チクセントミハイ氏が提唱する7つの条件
ミハイ・チクセントミハイ氏の書籍「フロー体験入門―楽しみと創造の心理学」における7つのフロー条件は以下の通り。
□目標や目的が明確か
□すぐにフィードバックが得られるか
□タスクの難易度と自分のスキルは釣り合っているか
□自分でコントロールしている感覚があるか
□時間、周囲の状況を忘れられるか
□本質的な価値を見い出せているか
□目の前のできごとに没頭できているか
ただし、「フローに入ることを目的にする」のは逆効果で、入ろうと思って入れるものではない。自身の状態や環境を整え、目の前のことに没頭できる状態をつくることで、自然とフローに入りやすくなる。
自身のスキルと課題の難易度のバランスが重要

フローは、自身のスキルレベルと課題の難易度が高い次元で釣り合っているときにもっとも起こりやすいとされている。自分の力を十分に発揮できている実感があり、なおかつ少し背伸びが必要な課題に取り組んでいる状態では、時間を忘れて没頭しやすくなる。
| フロー | スキル:高い / 課題難易度:高い 自分の持っているスキルを十分に活かしながら、適度に難しい課題に挑戦している状態。 高い集中と没頭が生まれ、時間感覚が薄れる。 |
| 覚醒 | スキル:やや不足 / 課題難易度:高い 課題の難易度がスキルをやや上回り、強い集中が生まれている状態。 挑戦的ではあるが、まだ完全にコントロールできておらず、緊張感も伴う。 |
| コントロール | スキル:高い / 課題難易度:普通 自信を持って取り組めているが、刺激はやや少なくなり始める状態。 余裕がある一方で、成長実感が薄れることもある。 |
| リラックス | スキル:高い / 課題難易度:低い 課題に対してスキルが十分で、安心感はあるが集中度は高くない。 気楽に取り組めるが、没頭感は生まれにくい。 |
| 退屈 | スキル:高い / 課題難易度:かなり低い 自分のスキルに対して課題が簡単すぎるため、刺激が不足して退屈を感じやすい状態。 やる気が出ず、モチベーションが低下する。 |
| 無感動 | スキル:低い / 課題難易度:低い スキルレベルと課題の難易度がともに低い状態で、退屈や無気力を感じる。 やる気も興味も湧かない、もっとも満足度が低い状態。 |
| 心配 | スキル:低い / 課題難易度:普通 不安を感じつつも、努力次第では対応できそうな状態。 「できるかな…」と心配になるが、まだがんばれる範囲。 |
| 不安 | スキル:低い / 課題難易度:高い 課題がスキルを大きく上回り、強い不安やストレスによってパフォーマンスが低下しやすい状態。 |
いつも同じような作業を繰り返していると、刺激が不足してマンネリ化してくるので、「もっと効率的な方法はないか」「別の方法でやったらどうなるか」など、ゲーム感覚で新しいことに挑戦するといい。
ピクシーダストテクノロジーズ | ガンマ波【PR】
多忙なビジネスパーソンの日常に「ガンマ波サウンド」という選択肢
会議や資料確認、判断を求められる場面が続く1日。気づけば頭が切り替わらないまま、仕事を進めていることも少なくない。そんな日々の中で、集中に向かうきっかけとして意識してみたいのが「音」。
ガンマ波サウンドは、脳波の周波数のひとつとされる「ガンマ波」に着目した音のテクノロジー。ガンマ波は、思考や情報処理、集中と関係がある脳波とされ、研究が進められている。ガンマ波サウンドは、いつもの音にガンマ波変調技術という特殊な加工を施すことで、ガンマ波を誘発・同期させることができる。
仕事に取りかかる前、音を聞く。それは、無理に集中力を引き出すのではなく、仕事モードへと静かに切り替えるための時間。年齢を重ねたからこそ、頑張りを足すのではなく、整えるという選択をしてみては。
フロー状態に入りやすい活動の例
一般的には創作活動・スポーツ・クリエイティブな作業などは比較的フローに入りやすいとされている。
【フロー状態に入りやすい活動の例】
- 楽器の演奏
- デッサン・書道
- ダンス
- スポーツやヨガ
- 集中して読み進める読書
- ゲーム、ボードゲーム
- ランニングやサイクリング
- 料理をする
- 生け花や洋裁
ただし、フローに入りやすい活動には個人差が大きく、何をするかよりも「その活動が楽しいか」「難易度が適切であるか」「内発的動機を見出せているか」などの要素が大きく影響している。
フロー状態に入る方法

前提として、フローは「入ろうと意識して入れるもの」ではないため、「どうすればフローに入れるか」と考えすぎること自体が、かえって逆効果になる場合もある。
重要なのは、フローを目指すことではなく、自分の心の状態を理解し、整えていくプロセスである。
- 自分の心の状態を理解する
- 感情を受け入れて共感する
- 環境を整えて悪い習慣を減らす
自分の心の状態を理解する

まずは、「普段の自分はどのような心の状態で生活しているのか」「心のノイズになっているものは何か」「何に不安や引っかかりを感じているのか」を振り返ることが第一歩となる。
不安やイライラといった心のノイズが強いアンリソースフルな状態から、いきなりフロー状態に入ることは難しい。
また、1日の中で「自分がリソースフルな状態で過ごせている時間がどのくらいあるか」を意識してみることも、有効なセルフチェックになる。
感情を受け入れて共感する

人はネガティブな出来事や感情を引きずりやすく、気づかないうちに自分の思考が自分自身を苦しめているケースも少なくない。自分の状態を理解し、そのまま受け入れることが、リソースフルな状態へ整えていく第一歩となる。
このときに重要なのは、感情を否定したり、すぐに改善しようとしないことである。まずは「そう感じている自分がいる」と認め、共感することから始めよう。
自分の感情を受け入れるだけでも、心の緊張が和らぎ、リソースフルな状態に近づきやすくなる。
環境を整えて悪い習慣を減らす
自分の心の状態を受け入れられるようになったら、次はリソースフルな状態を維持し、フローに入りやすい環境を整えていこう。
外的要因によって集中力が妨げられる環境では、フローに入りにくい。たとえば、スマートフォンが視界に入るだけでも集中力が低下することが知られている。
| 環境のOK例 |
|
| 環境のNG例 |
|
また、日常的に「SNSで他人と自分を比較する」「マイナス思考な発言が多い」といった心のノイズを生みやすい習慣を減らすことも、リソースフルな状態に近づく助けとなる。

リソースフルな状態に近づくためには、良い習慣を増やすこと以上に、悪い習慣を手放すことが重要です。まずは、自分の行動や発言が心のノイズになっていないかを振り返ることから始めてみましょう。
フロー状態に入るコツ

- 過去のフロー体験を可視化する
- 姿勢や呼吸を整える
- ネガティブな言葉を使わないようにする
- ワクワクする目標を設定する
- 自身のレベルに合った難易度のタスクに挑戦する
- すぐにフィードバックが得られる環境をつくる
過去のフロー体験を可視化する
過去に「何かに没頭できた」「フローに入っていたかもしれない」と感じた体験を思い出し、その時の活動内容や環境、時間帯などの共通点を整理してみよう。
【洗い出す項目】
- 活動(単調作業かクリエイティブな活動か)
- 環境(周りに誰もいない・集中力が高い人の近く など)
- 前後の行動(ものすごい集中できたときの前後で何をやっていたか)
- コンディション(前日の睡眠量・食事内容など)
集中しやすい状況や環境が見えてきたら、現状とのギャップを洗い出し、できそうなことから一つずつ整えていくことが大切。
姿勢や呼吸を整える
心と身体は密接につながっており、姿勢を整えることで心の状態も整いやすくなる。
たとえば、猫背の姿勢が続くと気分が下がりやすくなり、逆に背筋が自然に伸びた姿勢をとることで、気分も前向きになりやすい。
また、呼吸は自律神経と体性神経の両方に関わる数少ない生理機能であり、自動的に行われる一方で、意識的にコントロールすることも可能。

ピクシーダストテクノロジーズ | ガンマ波【PR】
多忙なビジネスパーソンの日常に「ガンマ波サウンド」という選択肢
会議や資料確認、判断を求められる場面が続く1日。気づけば頭が切り替わらないまま、仕事を進めていることも少なくない。そんな日々の中で、集中に向かうきっかけとして意識してみたいのが「音」。
ガンマ波サウンドは、脳波の周波数のひとつとされる「ガンマ波」に着目した音のテクノロジー。ガンマ波は、思考や情報処理、集中と関係がある脳波とされ、研究が進められている。ガンマ波サウンドは、いつもの音にガンマ波変調技術という特殊な加工を施すことで、ガンマ波を誘発・同期させることができる。
仕事に取りかかる前、音を聞く。それは、無理に集中力を引き出すのではなく、仕事モードへと静かに切り替えるための時間。年齢を重ねたからこそ、頑張りを足すのではなく、整えるという選択をしてみては。
ネガティブな言葉を使わないようにする
「不満」「愚痴」「悪口」といったネガティブな言葉を頻繁に使うと、体内のストレス反応が高まり、心はアンリソースフルな状態に傾きやすくなる。

また、同僚や部下に対してネガティブな発言をすると、自分だけでなく周囲の心理状態にも影響を与え、結果としてチーム全体の生産性やモチベーションを下げやすくなる。
ネガティブワードが思い浮かんできたら「疲れた→よくがんばった」「無理→できるか試してみよう」というふうに、言葉を言い換えることを意識してみよう。
ワクワクする目標を設定する

自分が向かうゴールや目的が具体的かつ、ワクワクするものであるほどやる気やモチベーションは高まりやすくなる。
また、誰かに一方的に与えられた目標ではなく、自分で納得して設定した目標であるほど、高い集中力と主体性をもって取り組みやすい。
たとえば、部下の目標を設定する際に意識したいポイントは以下の通り。
| 部下の目標を設定する場合 |
|
目標設定後は、具体的な数字を用いて進捗を可視化(前に進んでいる感覚)し、定期的な振り返り・フィードバックをおこなうことで、安心して進められる環境を整えることが大切。
自身のレベルに合った難易度のタスクに挑戦する
一般的には、自身のスキルレベルとタスクの難易度のバランスが取れている状態がフローに入りやすいとされている。
ただし、「どの程度の難易度が適切か」には大きな個人差がある。ハードルの高い目標を掲げることでモチベーションが高まる人もいれば、現実との乖離が大きすぎると、かえってやる気を失ってしまう人もいる。

とくに成功体験が少ない人や、物事をネガティブに捉えやすい人は、 まずは小さな行動からスタートし、 「できた」という感覚を積み重ねていくことが大切です。小さな成功体験の積み重ねが、自然と前向きな意識や挑戦意欲につながっていきます。
すぐにフィードバックが得られる環境をつくる
フィードバックがすぐに得られる環境では、自分の行動が適切かどうかを判断でき、前に進んでいると感じやすくなる。
たとえば部下に仕事を依頼したあとは「こまめにフィードバックを共有する」「チーム内で意見を言い合える環境を整える」など、「自分のやっていることは間違っていない」「前に進んでいる感覚が持てている」という状況をつくることが重要。

部下にフィードバックや注意をする際は、Why(なぜ)で問い詰めるのではなく、How(どうすればできるか)で問いかけることが大切です。
そうすることで意識の矢印が自分自身に向き、自発的に前へ進みやすくなります。
フロー状態にうまく入れないときはどうすればいい?

フローに入れない原因の1つとして「作業が重すぎる」ケースがあげられる。長時間かかる作業は終わりが見えづらく、前に進んでいる感覚が得られないことも多い。
対策としては、タスクを「10分」「20分」「30分」単位に分解して「最初の30分でここまで進めよう」というふうな目標を決める。タスクを分解することにより、成果が可視化され、小さな成功体験が得られる。このプラスの循環を続けていくことで、自然とフローにも入りやすくなる。

筑波大学蹴球部をはじめ、育成年代のサッカー選手や指導者、教育・企業現場でメンタルコーチングをおこなっている。
結果だけでなく、選手や指導者が「自ら考え、前に進む力」を育むことを大切にし、対話を軸にしたサポートを続けている。
日々の実践から得た気づきを、ブログやYouTube、書籍などで発信中。
書籍:整っていると、力は出る: 空海と利休が教えてくれた、静かな集中の正体
ブログ:https://family-flow.net/%e3%83%96%e3%83%ad%e3%82%b0/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC9b5_j3VQnZOVgkvoxV3T1w