フロアプレスは、床に仰向けになっておこなうプレス系トレーニング。大胸筋を中心に上腕三頭筋・三角筋前部にも刺激を入れやすく、ベンチプレス系の補助種目としても取り入れやすい。
この記事では、フロアプレスの特徴や効果、鍛えられる筋肉、基本的なやり方、重量の目安を紹介。
この記事の監修者

三矢 紘駆さん
日本体育大学助教 日体大ボディビル部監督
この記事の検証者

吉田 健二さん
Wellulu編集部
学生時代は運動部に所属。過去にトレーニングの継続を二度挫折したが、約1年前から再びジム通いをスタート。現在は「続けられる筋トレ習慣」をテーマに、週2〜3回の全身トレーニングを中心に実践している。
フロアプレスの特徴

フロアプレスは、床に仰向けになっておこなうプレス系トレーニング。動作範囲が床で制限され、肩の位置が安定しやすい点が特徴。
そのため、肩関節の可動域が抑えられ、押す局面に集中しやすい。
ダンベルベンチプレスとの違い

ダンベルベンチプレスはベンチ上で可動域が広く、胸を大きく伸ばす局面が作りやすい。一方フロアプレスは床で止まるため可動域が短く、肩の前側へ負担がかかりにくい。
大胸筋のストレッチ重視ならダンベルベンチプレス、押す力の強化や安定性重視ならフロアプレスが選びやすい。
フロアプレスとダンベルベンチプレスの違い
| 種目 | 動作 | 可動域 | 刺激の入り方 |
| フロアプレス | 床でおこなう | 狭い | 押す局面に集中しやすい |
| ダンベルベンチプレス | ベンチ上でおこなう | 広い | 押す局面だけでなく、ストレッチ刺激も入る |

監修者:三矢
フロアプレスは可動域が狭い分、ダンベルベンチプレスよりも高重量を扱いやすいのが特徴です。
一方で、可動域が制限されるぶんストレッチ刺激は入りにくいため、筋肥大を狙う場合はベンチプレス系と組み合わせて取り入れるのがおすすめです。
フロアプレスはダンベルでもできる?


監修者:三矢
押す局面の強化を目的としたフロアプレスでは、十分な負荷をかけておこなうことが大切です。ダンベルの場合、高重量になるとスタートポジションまで持ち上げる動作が難しくなり、安全性とトレーニング効率の両面であまりおすすめできません。
高重量でも安定して扱え、効率よく負荷をかけやすいバーベルでの実施が適しています。
フロアプレスで鍛えられる筋肉

| 部位 | 負荷の強度(※) |
| 大胸筋 | ★★★★☆ |
| 上腕三頭筋 | ★★☆☆☆ |
| 三角筋前部 | ★☆☆☆☆ |
※負荷の強度=各部位にアプローチできる負荷量の差
大胸筋

| 主な役割 | 腕を前に押し出す、腕を内側に閉じる動作に関わる。肩関節の安定に影響する。 |
| 位置 | 胸の前面全体 |
| 構成筋肉 | 鎖骨部(上部)・胸肋部(中部)・腹部(下部) |
上腕三頭筋

| 主な役割 | 肘を伸ばしたり、押す動作の補助に関わる。肩関節の補助的安定に関わる。 |
| 位置 | 上腕の裏側 |
| 構成筋肉 | 長頭・外側頭・内側頭 |
三角筋前部

| 主な役割 | 腕を前に上げる動作、押す動作の補助に関わる。 |
| 位置 | 肩の前側 |
| 構成筋肉 | ※三角筋は前部・中部・後部の3部位で構成 |
フロアプレスの効果

- 大胸筋の厚みアップ
- 腕の筋肥大
大胸筋の厚みアップ

フロアプレスは床でひじが止まり、切り返しの局面が安定しやすい。反動が起きにくく、胸で押す感覚をつくりやすい点が強み。大胸筋の収縮局面へ負荷が残りやすく、フォームが崩れにくいのが特徴。
胸の肥大を狙う場面では、8〜12回前後で限界が来る重量設定がおすすめ。
腕の筋肥大

フロアプレスでは、大胸筋をメインに上腕三頭筋にも負荷が入る。ベンチ系の押し込みが弱い場面や、腕の押し切りを伸ばしたい筋トレとも好相性。
トレーニング終盤に軽めの負荷で回数を稼ぐセットもおすすめ。

監修者:三矢
上腕三頭筋への関与を高めたい場合は、手幅を狭くしたナローグリップでおこなうのがおすすめです。ひじを体側に沿わせることで三頭筋に負荷が乗りやすくなります。
手幅を広げると大胸筋への刺激が強くなるため、目的に応じてグリップ幅を調整することで、同じフロアプレスでも効かせる部位をコントロールしやすくなります。
フロアプレスの基本的なやり方
| 難易度 | ★★☆☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★★☆☆☆ |
※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
【やり方】
- 床に仰向けになり、つま先を外に向ける
- バーベルを肩幅より広く握り、胸の上で構える
- ひじをが床に軽く触れるまで、胸へ向かって下ろす
- 肩を床につけたまま、胸の力でバーベルを押し上げる
| ケガのリスク | 低い |
| 実施できる場所 | ジム |
| 器具・設備 | バーベル |
| 負荷の調整 | 可能 |

監修者:三矢
フロアプレスは床でひじが止まるため、動作の切り返しが安定しやすく、押す局面に集中しやすい種目です。肩への負担が抑えられる一方で、可動域が制限されるため、反動を使わずコントロールしておこないましょう。
STEP1:床に仰向けになり、つま先を外に向ける


検証者:吉田
つま先を外に向けるだけで、体全体が安定する感覚がありました。つま先が上を向いたままだと、押すときに上半身がブレやすくなります。下半身の安定がフォーム全体に影響すると感じました。

監修者:三矢
お尻を軽く締める意識を持つためにつま先を外に向けましょう。そうすることで、体幹の安定につながり全身の力を連動させやすくなります。
STEP2:バーベルを肩幅より広く握り、胸の上で構える


検証者:吉田
手幅を肩幅より広くすると、押したときに胸にしっかり力が入る感覚がありました。手幅が狭いと腕に負担が集中しやすく、狙いがブレる印象です。

監修者:三矢
手幅を肩幅よりやや広く取ることで、大胸筋に負荷を乗せやすくなります。手首が寝ないようにバーの真下に前腕を保ち、胸の上で安定したスタートポジションをつくることが大切です。
STEP4:ひじが床に軽く触れるまで、胸へ向かって下ろす


検証者:吉田
胸の位置に向かって下ろすことで、自然に力が入りやすくなりました。顔の位置に近づくと腕や肩に負担がかかる感覚があり、安定感も落ちます。下ろす位置を意識するだけで効き方が大きく変わりました。

監修者:三矢
バーベルは胸のもっとも高い位置に向かって下ろすことで、大胸筋に負荷を乗せやすくなります。顔側へ流れると肩への負担が増えやすいため、ひじの位置とバーの軌道を一定に保つことが大切です。
STEP5:肩を床につけたまま、胸の力でバーベルを押し上げる


検証者:吉田
肩を床につけたまま押すことで、胸にしっかり力が入る感覚がありました。肩がすくむと一気に押しにくくなり、腕に頼る感覚になります。姿勢を保つだけで力の入り方が大きく変わりました。

監修者:三矢
胸を軽く張りひじを伸ばし切るまでコントロールすることで、大胸筋にしっかり負荷を乗せやすくなります。
上腕三頭筋に効かせるフロアプレスのやり方
ナローフロアプレス
| 難易度 | ★★☆☆☆ |
| 続けやすさ(※1) | ★★★☆☆ |
| トレーニング効率(※2) | ★☆☆☆☆ |
※1:続けやすさ = トレーニングができる場所の自由度/器具や設備の必要性
※2:トレーニング効率 = 複数部位にアプローチできるか/負荷調整できるか
【やり方】
- 床に仰向けになり、つま先を外に向ける
- バーベルを肩幅程度に握り、胸の上で構える
- ひじをが床に軽く触れるまで、胸へ向かって下ろす
- 肩を床につけたまま、胸の力でバーベルを押し上げる
| ケガのリスク | 低い |
| 実施できる場所 | ジム |
| 器具・設備 | バーベル |
| 負荷の調整 | 可能 |

監修者:三矢
ナローフロアプレスは手幅を狭くすることで、上腕三頭筋への負荷を高めやすいバリエーションです。ひじを体側に沿わせて押すことで、腕の押し切り動作を強化しやすくなります。通常のフロアプレスと使い分けることで、胸と腕の両方をバランスよく鍛えやすくなります。
【注意点】
- 肩幅程度にバーベルを握る
- 身体に沿うようにひじを曲げる
肩幅程度にバーベルを握る

身体に沿うようにひじを曲げる


検証者:吉田
手幅を狭くしてひじを体に沿わせると、押したときに腕の裏に強く効く感覚がありました。ひじが外に開くと負荷が抜け、腕への刺激が極端に弱くなりました。

監修者:三矢
ひじを体側に沿わせて動作することで、三頭筋に負荷を集中させやすくなります。手幅とひじの軌道をそろえることが、ナローフロアプレスの効果を高めるポイントです。
フロアプレスの重量

フロアプレスの目安重量(kg)は、10~12回できる重量で取り組むのが最適。高重量でセット数を過度に増やすと、筋肉よりも関節や腱への負荷が大きくなりやすいため注意が必要。
適切な重量設定とセット管理をおこなうことが、安全かつ効率的なトレーニングにつながる。
レベル別重量の目安
| レベル目安 | 重量(kg) | 負荷の位置づけ |
| 初心者 | 20~60kg | かなり軽め・可動域確認レベル |
| 中級者 | 60~90kg | 筋力向上を狙える実用的な重量 |
| 上級者 | 100kg以上 | 高重量トレーニング領域 |
フロアプレスに関するQ&A
女性がフロアプレスをおこなう際の注意点は?
A. 重量よりフォーム優先で、肩と手首の安定を重視することが大切。

監修者:三矢
フロアプレスは安定性の高い種目ですが、無理に重量を上げると肩や手首に負担が出やすくなります。必要に応じてリストラップなどを活用すると安全性が高まります。
違和感がある場合は重量や回数を調整し、無理のない範囲で継続することが大切です。
デッドリフトと併用すべき?
A. デッドリフトとの併用もおすすめ。どちらも高重量種目のため、別日にする方法も

監修者:三矢
フロアプレスとデッドリフトは、それぞれ押す・引く動作で役割が分かれるため、併用することで全身のバランスを整えやすくなります。ただし、どちらも高重量を扱いやすい種目のため、同日におこなうと疲労が大きくなりやすい点には注意が必要です。
デッドリフトをメインでおこなう日はフロアプレスを軽めにする、もしくは別日に分けてそれぞれをメイン種目として扱うことで、トレーニングの質を維持しやすくなります。









2024年日本体育大学大学院体育科学研究科博士課程修了。博士(体育科学)。日本体育大学体育研究所助教であり、同学のボディビル部にて監督およびボディビルクラブ代表を務める。2024年におこなわれた第38回東京クラス別ボディビル選手権大会では、ミスター75kg以下級にて優勝。
【資格】
NSCA-CSCS