「ランニングを始めたいけど、何から始めればいいかわからない」「走ってみたけどすぐに疲れてしまい、続かない」。これからランニングを始める人は、「ストレッチで土台を作る」「ゆっくり走る」「ランニング用シューズを用意する」など、段階的に進めることで継続しやすくなる。
この記事では、ランニングの専門家に聞いた、継続するコツや正しいフォーム、初心者向けロードマップ、用意するものを紹介。
この記事の監修者

青山 剛さん
トライアスロン元日本代表/プロフェッショナルコーチ
この記事の検証者

長井 友貴さん
リモートワークで肩こりが悪化したのをきっかけに「オンラインフィットネス」を始める。睡眠・食事も含めた健康管理を興味があり、書籍などで勉強中。
ランニング初心者が継続するために重要なこと

- 目的・目標・正しさ・楽しさの4つを明確にする
- ランニングを継続できている人の共通点
- 継続が常に正しいとは限らないことも知っておく
目的・目標・正しさ・楽しさの4つを明確にする

ランニングに限らず、ものごとを継続するには「目的・目標・正しさ・楽しさ」を明確にすることが重要。どれか1つでも欠けると継続率は低下してしまう。
- 目的:健康を維持したい、仕事を長く続けたいなど、長期の理由
- 目標:東京マラソンを4時間以内で完走したい、夏までに5kg痩せたい など
※期限(締め切り)+数値化(例:体脂肪・体重など) - 正しさ:(正しいフォームや強度、自身のライフスタイルに合わせた頻度 など)
- 楽しさ:しんどい・苦しいだけでは長続きしない
達成できるかどうかは別として、締め切りを設定し、そこから逆算して少しずつ積み重ねていくことが大切。
締め切りがない状態だとダラダラしやすいため、具体的な数字(達成できたかどうかがわかりやすい)とセットで設定しよう。
とはいえ、いきなり明確な目標を決めるのは難しい人は、まずは試しにやってみて「面白くなってきたから本格的にやってみよう」と思ったタイミングで、自身の体力や確保できる時間などに合わせて目標を決めるのも1つの方法。

監修者:青山
走ることに楽しさを見出すのが難しい人は、「仲間と走る」「ランニングのあとに食事会をする」など、走ることをイベント化するのも1つの方法です。
ランニングを継続できている人の共通点
【ランニングを継続できている人の特徴】
- 本業(仕事や家庭など)を最優先にしている
- 体調崩しそうなときは走らずに休むことを優先している
- 雨が降っているときや暑すぎる・寒すぎる日に無理に走らない
- 続けていく中で目標や楽しさを見出せている
- 忙しいときでも、少しずつ続けている
- ランニング以外の有酸素運動(自転車やプールなど)の選択肢を持っている
ランニングの目標・ペース・頻度は人によってさまざまだが、継続できている人には一定の共通点が存在する。

監修者:青山
長く続けるためには、忙しいときや体調が悪いときなどに、無理をせず、本業に専念したり、しっかり休むことも長く続けるにはとても大切です。
また、やるか・やらないかの二択ではなく、忙しい日は「ちょっとだけでもよいのでやる」という選択肢を持つようにしましょう。

検証者:長井
昔読んだ行動経済学の書籍に「目標達成のコツはしんどいときや忙しいときでもできるくらいにハードルを下げる」と書かれていたのですが、ランニングもまさに一緒だと思い、すごく納得感がありました。
継続が常に正しいとは限らないことも知っておく
その人の置かれている状況によっては、必ずしも続けることが正解であるとは限らない。大事なのは、自分に合った無理のないペースで取り組むこと。

検証者:長井
仕事と同じで目標・目的が重要というのはすごく納得感がありました。あと、ランニングは気軽に始めやすい分、正しいフォームを意識する機会は少ないように感じ

監修者:青山
継続のためには、最初にこれらをやることが大切です。ただし、「常に継続することが正しいとは限らない」ということも覚えておいてください。

検証者:長井
えっ、それってどういうことですか?

監修者:青山
意外かもしれませんが、ギャンブルや飲酒のように、ランニングも中毒になる可能性があるんです。たとえば、家庭や育児を犠牲にして没頭したり、仕事の現実逃避としてランニングをしたりなど。
自身の生活に合わせて、アクセルを踏む時期・緩める時期を把握することも正しく継続するには非常に重要です。
初心者向け!ランニングの正しいフォーム・走り方

- 正しい立ち姿勢
- ランニング時のフォーム
正しい立ち姿勢

正しく走れるようになるには、正しい姿勢で立つことが最初の一歩。
【基本の立ち姿勢】
- 足は肩幅(こぶし2個分)に開く
- つま先とかかとを同じ幅にそろえる
- 胸を軽く開いて、肩の力を抜く

毎日姿勢を意識しながら生活する必要はないので、外に出かけるときや立ち上がったときに整えたり、歩き始めの10秒間だけ意識してみるなど、ふとしたときに気をつけるくらいでOK。
ランニングにおける正しいフォーム

【正しいフォーム】
- 腕をしっかり引けている
- 上体はやや前傾
- 足は真下に置く
この3つはリンクしており、腕をしっかりと引けていると自然と上体は前傾になり、足が真下にくる。

ただし、正しいフォームがわかったとしても走りながら実践するのは難しく、普段から運動をしていない人がいきなり走るとケガをするリスクも高まる。
まずはストレッチやスイッチを続けて、身体をしっかりと動かせる土台をつくることを最優先にする。そうすることで、ランニング中に意識しなくても自然と正しいフォームで走れるようになってくる。

監修者:青山
ウォーキングやランニング中に常に意識するのではなく、たまに思い出す程度に留めることが重要です。
意識しながら歩いたり走ったりしていると、運動で重要なリズム・連動・タイミングが狂ってしまい、パフォーマンスの低下だけでなく、ケガにもつながります。
走れる身体をつくるストレッチ種目(簡易版)

ストレッチをして身体をほぐすことで可動域が広がったり、柔軟性が向上することで、自然と身体がうまく使えるようになる。
今回は、青山さんに聞いたストレッチを簡易版として12種目紹介。
- 肩の前と胸のストレッチ1
- 肩の前と胸のストレッチ2
- 肩横のストレッチ
- 首横のストレッチ
- ふくらはぎの上を伸ばすストレッチ
- もも裏のストレッチ
- もも前(左右)のストレッチ
- 股関節・もも内側のストレッチ
- お尻のストレッチ
- 腰をひねるストレッチ
肩の前と胸のストレッチ1
【やり方】
- 両手を後ろに組む
- 腕を後ろに伸ばす
- 肩の前と胸が伸びているか確認し、そのまま15~20秒キープ

検証者:長井
肩甲骨側を意識して引っ張ると、かなり伸ばされている感覚がありました。デスクワークの合間に取り入れるのもよさそうです。

監修者:青山
肩甲骨を中心に寄せるイメージで両腕を後ろに引きましょう。
肩の前と胸のストレッチ2
【やり方】
- 両手を後ろに組む
- 腕を後ろに伸ばす
- 腕を伸ばした状態をキープしたまま、身体を前に倒す
- そのまま15~20秒キープ

検証者:長井
最初から無理に腕を上げようとすると痛めるので、できる範囲にとどめたほうがよいです。毎日続けていると自然と腕も前に倒れるようになってきまます。

監修者:青山
ゆっくりと呼吸を止めずに腕を前に倒して行きましょう。
胸、背中、お尻、腿の裏など、走る上で大切な体の裏側を伸ばすことができます。
肩甲骨の間のストレッチ
【やり方】
- 腰の背中側に片手の甲を当て、脇に三角形を作る
- もう片方の手でひじをつかんで前に引く
※肩甲骨の間が伸びていれば正解 - そのまま15~20秒キープ
- 反対側も同様におこなう

検証者:長井
手を引くときに、軽く胸を張るとより伸びが感じられました。じんわりと肩甲骨に効いている感覚が気持ちいいです。

監修者:青山
ひじまで手が届かない場合は、はじめは服をつかんでもOKです。身体がやわらかい人は、手をもっと中のほうに当ててもかまいません。
肩横のストレッチ
【やり方】
- 片方の腕を顔の前に持ってくる
- 逆の腕をひじに当てる
- 腕を手前に引き、肩の横を伸ばす
- そのまま15~20秒キープ
- 反対側も同様におこなう

検証者:長井
しっかりと手前に引くことで肩が伸ばされている感じがしました。逆に引きが甘いとあまり効果を感じられません。

監修者:青山
しっかりとひじを引き寄せるようにします。
首横のストレッチ
【やり方】
- 側頭部に手を当てて、腕の重みで真横に引く
※腕の重みだけで引く - 逆の腕を斜め後方に引っ張る
- 内側と外側、交互にひねる
- 15~20秒目安におこなう
- 反対側も同様におこなう

検証者:長井
首を傾けるときに、肩が上がらないように注意したほうがよさそうです。普段はパソコン作業が多く、腕の筋肉が固まりやすいので、腕をひねるだけでもいい感じの運動になります。

監修者:青山
強く引くと首を痛める恐れがあるので、腕の重みだけで引くようにしてください。
その代わり逆の手はしっかり捻りましょう。
ふくらはぎの下を伸ばすストレッチ
【やり方】
- 片足を正座、もう片方を立てひざにする
※かかとをお尻の下につけておく - その状態のまま、立てひざをしたほうの脚へ、かかとが浮くくらいに体重を乗せる
- そのまま15~20秒キープ
- 反対側も同様におこなう

検証者:長井
フローリングだと床が硬かったので、ヨガマットの上でやると、しっかりと伸びている感覚を掴むことができました。

監修者:青山
ふくらはぎの下らへん、アキレス腱の少し上が伸びていれば正解です。
ふくらはぎの上を伸ばすストレッチ
【やり方】
- 両足裏を地面につけたまま、お尻を上げて両手を前につく
- 片方のひざを伸ばしてもう片方の脚に乗せる
- そのまま15~20秒キープ
- 反対側も同様におこなう

検証者:長井
油断していると腰が反ってくるので、軽くお腹に力を入れるほうが姿勢が安定すると思います。

監修者:青山
地面についているほうの足は、かかとを床にゆっくり近づけていきましょう。
もも裏のストレッチ
【やり方】
- 座って片脚を伸ばし、もう片方の足は折りたたむ
- 伸ばした脚と同じ手でつま先を引きながらカラダを前に倒す
- そのまま15~20秒キープ
- 反対側も同様におこなう

検証者:長井
少し身体を倒しただけでもも裏が伸ばされている感じがあり、自覚がないものの、もも裏がけっこう張っていたということに気づきました。

監修者:青山
ひざは曲げないように意識しながら、つま先を掴んでください。つま先に届かない場合はすねを持つようにしましょう。
もも前(左右)のストレッチ
【やり方】
- 座って片脚をお尻の横に折りたたむ
- 身体を後ろへ倒す
- そのまま15~20秒キープ
- 反対側も同様におこなう

検証者:長井
足を引いてくるのではなく、身体を後ろに倒すとしっかりともも前が伸びている感覚がありました。

監修者:青山
ももの前側が硬いと、膝痛の原因にもなりますので、しっかり伸ばしておきましょう。
股関節・もも内側のストレッチ
【やり方】
- 脚を前後に大きく開く
- 前の脚の角度は約90度に保つ
- 胸を開き、股関節を下へ押しつけるように腰を落とす
- そのまま15~20秒キープ
- 反対側も同様におこなう

検証者:長井
前に体重をかけるのではなく、地面側に体重をかけるようにすると、しっかりももの内側が伸びている感覚がありました。

監修者:青山
胸を開いて、股関節をぐっと落とすイメージで腰を落とすのがポイントです。
お尻のストレッチ
【やり方】
- ひざを立てて座り、後ろに手をつく
- お尻を上げて片方の足をもう片方のひざに乗せる
- お尻を下ろし、胸を開いた状態で前の脚に近づける
- そのまま15~20秒キープ
- 反対側も同様におこなう

検証者:長井
普段座っている時間が長いので、ストレッチをやってみるとお尻の筋肉が硬くなっていることに気づきました。普段から座りっぱなしの人は、ぜひやってほしいストレッチです。

監修者:青山
伸ばしているお尻やお尻の付け根は走る上でアクセルとなります。
しっかり走る前には伸ばしておきましょう。
腰をひねるストレッチ
【やり方】
- 腕を組んだ状態で座る
- 上に組んだほうのひざを立てる
- 反対側のひざで、立てたひざを押して腰をひねる
※反対側も同様に

検証者:長井
日常生活であまりひねる動きをしないので、最初はちょっとひねっただけでも強い反発がありましたが、続けていくと少しずつ身体がやわらかくなっていく感覚がありました。

監修者:青山
腰が硬いと体幹を使って上手く走ることが出来ませんので、
左右しっかりと捻って伸ばしましょう。
身体に軽い刺激を与えるスイッチ(簡易版)

スイッチをおこない筋肉に軽い刺激を与えることで、より効率的に走ることができる。
今回は青山さんに聞いたスイッチ種目の中から6種類を紹介。
- 上体起こし腹筋
- お尻背筋
- カーフレイズ(かかと上げ)
- ひざ曲げスクワット
- お尻突き出しスクワット
- 腕を前後に振る
上体起こし腹筋
【やり方】
- ひざを曲げた状態で仰向けに寝る
- 両手をひざあたりにセットする
- 両手を大腿に沿わせながら、8カウントを数えながら上体をゆっくり起こす
- 背骨を1つずつ床につけるイメージで4カウントを数えながらゆっくり身体を下ろす
- 10回繰り返す

検証者:長井
想像以上にお腹の力だけで上がるのが難しかったです。最初は足をかなり遠くにセットしてもいいので、いきおいをつけずに上がってくる練習から始めるのがよさそうです。

監修者:青山
刺激している腹直筋は姿勢保持や腕振りの動力を骨盤に伝える大切な筋肉です。
上手くできない場合は、足を遠くにセットすると負荷が下がります。クッションやタオルを腰に当てるのも1つの方法です。
お尻背筋
【やり方】
- 仰向けに寝る(あごもしっかり床につける)
- お尻にしっかりと力を入れる
※お尻に力を入れることで自然と足が上がる - 足をゆっくり下ろす
- 20回繰り返す

検証者:長井
慣れていないと反動を使ってしまいがちです。しっかりお尻に力を入れるといい感じに体幹部にも刺激が入ります。

監修者:青山
あごは地面につけた状態でおこないます。お尻に力が入っているかわからない場合は指で押さえながらやってみましょう。お尻に力が入った結果、足が上がるようにすることによって、アクセルのお尻で体を運ぶことが出来ます。
カーフレイズ(かかと上げ)
【やり方】
- 脚を肩幅(こぶし2個分)に開いて立つ
- 親指に乗るようにかかとをゆっくり上げる
- ゆっくりかかとを下ろす
- 20回繰り返す

検証者:長井
無意識でやっていると足が外側に開いてくるので、親指側に力を入れる感覚を意識するとよさそうです。

監修者:青山
走る時にしっかりと親指に重心が乗るようにするクセ付けです。
かかとを上げたときに親指の付け根に体重を乗せるようにしましょう。体重が小指側に乗るとつま先が外側にズレやすくなります。
ひざ曲げスクワット
【やり方】
- 脚を肩幅(こぶし2個分)に開いて立つ
- つま先の方向に膝を曲げ、また戻す。
- 20回繰り返す
※ひざを曲げたときにつま先が隠れているか、初めに確認してから行う。

検証者:長井
普通のスクワットよりも負荷は軽いものの、20回連続でやるとほどよい運動になります。デスクワークの気分転換にやるのにもちょうどよいです。

監修者:青山
つま先とひざの位置が揃っていることが重要です。ひざが内側や外側に曲がらないようにしましょう。走る時に揃うようにするクセづけです。
お尻突き出しスクワット
【やり方】
- 脚を肩幅(こぶし2個分)に開いて立つ
- 股関節に手を当てる
- 勢いよくお尻を後ろに突き出す
- 素早くもとの姿勢に戻る
- 20回繰り返す

検証者:長井
最初はリズムよくお尻を突き出すのが難しかったのですが。慣れてくるとスムーズにできるようになりました。

監修者:青山
目線はまっすぐよりやや上あたりに合わせて、お尻を突き出したときにひざが前に出ないようにしましょう。お尻の下あたりを刺激します。走る時に一番大事なアクセルの場所です。
腕を前後に振る
【やり方】
- 脚を肩幅(こぶし2個分)に開いて立つ
- 腕を指先までまっすぐ伸ばす
- 両腕を交互に大きく振る
- 30回、下を向かずに繰り返す

検証者:長井
巻き肩気味なので、後ろに振るのが結構難しかったです。猫背気味の人もけっこう効くんじゃないかと思います。

監修者:青山
これは肩甲骨のスイッチです。ひじを曲げ伸ばしすると、肩甲骨があまり動かないので、腕は指先まで伸ばした状態で、肩幅より広げないように意識しながら腕を大きく振りましょう。
ランニング初心者向けのおすすめメニュー

- 最初の1ヵ月:正しく走るための土台作り
- 2ヵ月目以降:とにかくゆっくり走る
- 60分走れるようなったら:目標に向けたメニューを考える
最初の1ヵ月:正しく走るための土台作り

速く走る行為は、思っている以上に身体に負荷がかかるので、普段から運動をしていない人には負担が強い。さらに正しいフォームを身につけていない状態では、ケガのリスクも高まる。
まずはストレッチとスイッチをしっかりおこない、正しく走るための土台作りを優先しよう。
普段から運動をしていない人の場合は、走るのではなく、ウォーキング(ペースの目安としては、1km:10~12分)でも十分な運動になる。
仕事が忙しくてまとまった時間を取れない人は、通勤時に階段を使ったり、一駅分歩いたりするなど、普段の生活の中で意識的に歩くようにしよう。

監修者:青山
とはいえ、まったく走らないとランニングをしている実感がわかないので、気分転換にちょっと走ってみるなど、自分なりに楽しく続けられる工夫をしてみるとよいでしょう。
また、とりあえず1回走ってみて、自分がどれくらい走れるのかに合わせて目標を決めるのも1つの方法です。
2ヵ月目以降:とにかくゆっくり走る

1ヵ月ほどストレッチ・スイッチ・ウォーキングを継続して、ウォーキングのペースに慣れてきたら、次のステップが「スロージョギング(ペースの目安としては、1km:8~10分)」。
その人の体力やランニングできる時間にもよるが、まずは20分ジョギング(10分で行って、10分で戻ってくる)に挑戦してみよう。
このときに重要なのが「とにかくゆっくり走る」こと。20分をクリアしたら5分ずつくらいで伸ばしていき、60分(30分で行って、30分で戻ってくる)安定して走れるようになったら次のステップに進もう。

監修者:青山
速く走れば走るほどケガのリスクが高まるので、ランニング初心者の人は、速く走るメリットはないくらいに認識して大丈夫です。
たとえば、脂肪燃焼を目的とする場合は走り続けることが重要で、速く走ったからといって脂肪が燃えやすくなるということはありません。
60分走れるようになったら:目標に向けたメニューを考える

60分安定して走れるようになったころには、ポジティブな変化を実感できるようになったり、走ることへの自信もついてきているはず。
これ以降は、どこを目指す(どうなりたい)かによってやることが決まってくる。
たとえば、フルマラソンを完走したいのであれば、より長く走れる体力をつける。速く走りたいのであれば、少しずつペースを上げて走るなど、目標によって練習方法はさまざま。

監修者:青山
1つおすすめなのが、5kmのタイムを計ってみることです。
5kmを25分以内(1キロ5分ペース)で走れたら、フルマラソンの目標ペースは5分30~40秒となり、4時間を目指す練習に入れます。
自分のタイムがわかれば、速く走る練習をしたほうがよいのか、長く走る練習をしたほうがよいのかといった、方向性が見えてきます。
ランニングにおける距離・ペースの考え方

- 距離を指標にしない
- 目標に合わせてペースを設定する
距離を指標にしない
月間走行距離はそこまで気にしなくてよい。距離を追い求めると依存症になりやすいので、「自分が立てた目標に向かって継続していった結果、これくらいの距離を走れるようになった」くらいに認識するのがおすすめ。
たとえば受験勉強の場合、1日何時間勉強するかよりも、受かるための勉強方法を工夫することが大切なのと、考え方は同じ。
目標に合わせてペースを設定する
どれくらいのペースが適切かは目的によって異なる。自分の適切なペースを見つけるには、目標心拍ゾーンをもとに計算するのが1つの方法。
| 運動習慣 | 計算式 |
| 普段あまり運動をしていない | (最大心拍数(220-年齢)-安静時の心拍数)×運動強度 + 安静時の心拍数 |
| 定期的に運動をしている | (210-(年齢÷2)-安静時の心拍数)×運動強度 + 安静時の心拍数 |
【目標別の運動強度】
- 健康維持:40~50%
- 脂肪燃焼:50~60%
- 心肺向上:60%以上
普段から運動をしていない人や、まずは身体を動かすことを習慣にしようと考えている人は、健康維持(40~50%)からスタートしよう。
ランニングを始める際の服装

- ランニングシューズ
- ランニングウェア
- ソックス
ランニングシューズ
フォームづくり以前の土台として、足元の安定を優先することが大切。ランニング初心者の場合は底が厚く、サポート力が強い練習用のシューズがおすすめ。
夕方のむくみも考慮して試し履きするとサイズのズレを防ぎやすい。ジャストサイズではなく、つま先に約1cmの余裕があるものを購入しよう。
また、カーボンプレート(反発強め・レース系)が内蔵されたタイプは速く走ることを目的にしており、最初から反発に頼っていると、事故やケガのリスクが増加する。そのため、最初に購入するのは避けたほうがよい。

検証者:長井
普段履きのスニーカーで走ってみると足にフィットする感覚が薄いので、走りにくいだけでなく、長いこと走っていると足が疲れる感じがしました。
ランニングウェア
ランニングウェアは脇~脇腹あたりが絞られているので、腕を振ったときに引っ掛かりにくいようにデザインされている。
ウォーキング程度であればトレーニングウェアでも問題ないが、走るときはランニングウェアを着用するようにしよう。
また、女性の場合はスポーツ用のブラは必須(普段の下着で走るのはNG)。
【普段の下着で運動をするデメリット】
- クーパー靭帯に負荷がかかり、バストが垂れる原因に
- 摩擦による痛みや黒ずみの原因に
ソックス
ランニング用のソックスは足が滑りにくく、蒸れにくいような工夫がされている。
足の疲労軽減や摩擦による靴擦れ・マメの防止などの観点でも重要なアイテムなので、長くランニングを続けるためにも、ランニング用のソックスを着用して走るようにしよう。
できれば用意しておくとよいもの

- ウォッチ
- サングラス
ランニング用のウォッチ
最近のランニング用ウォッチはGPSが内蔵されているので、どこを走ったかが自動で記録されるようになっている。スマホアプリと連携することで、スマホを持ち歩かなくても簡単にログとして残すことが可能。
また、結果が可視化されて蓄積されることで、モチベーションにもなる。
サングラス
目に紫外線が入ると、脳が誤作動を起こして身体にしみやそばかすができやすくなると言われている。日焼け止めでは眼球への紫外線はカットできないので、目の紫外線対策としてサングラスを着用したほうがよい。
注意点としては、必ずスポーツブランド(100%UVカット)のサングラスを使用すること。
サングラスをかけると視界が暗くなるので、瞳孔を開いて光を取り込もうとする。UVカット率が100%であれば、瞳孔が開いても紫外線をカットできるが、そうでないと紫外線の影響をもろに受けてしまう。
そのため、UVカット率が低いサングラスをするくらいなら何もしないほうがよい。

監修者:青山
まぶしいと肩が上がってしまい、フォームの乱れにもつながります。正しいフォームを保つためにも、サングラスをすることは重要です。
過去のスポーツ歴によるクセや傾向

- 剣道:姿勢が良い・左右差が出ることも
- テニス・バスケ:丈夫な傾向
- 野球:器用な人が多い
- 水泳:総合体力はあるが足首が緩く捻挫しやすい(心肺機能が高い故に無理をしやすい)
- 新体操・体操:身体が柔らかい(ケガしづらい)
- ゴルフ:左右の偏りが出やすい
- 帰宅部・軽音楽部:クセがない(ケガしづらい、無理しづらい)
過去のスポーツ歴によっては覚していない身体のクセがあるため、いきなりランニングを始めると正しいフォームで走れなかったり、身体を痛める可能性もある。
また、現在進行形でスポーツをしているのか、そうでないかによっても違うので、まずは身体の土台づくりから始めるとよい。
たとえば、運動経験がある人は身体を動かすのには慣れているけど、体力が衰えているから、無理をしてケガをしてしまうことも。

監修者:青山
運動経験がある人はすぐに身体が使える場合もあるし、運動経験がない人でも、クセがついていない分、すぐに上達することもあります。
あまり細かいことは気にせずに、自分なりのペースで楽しみながら続けてみてください。
ランニング初心者が注意すること

- ランニング中にフォームを整えようとしない
- ランニング後にいきなり休まない
- 音楽を聴きながら走らない
- いきなりトレッドミルは使用しない
ランニング中にフォームを整えようとしない
よほど身体の軸がしっかりしている人でないと、走りながらフォームを直すのは難しく、逆にフォームがおかしくなってしまう可能性も十分にある。
走っているときにフォームを気にしなくても、自然と正しいフォームで走れるようになるために、ストレッチとスイッチが重要。
ランニング後にいきなり休まない

動いている状態から急に止まると筋肉の血流が滞ってしまい、筋肉が張ったり身体が重くなったりするので、ランニング直後に横になったり座ったりするのは避ける。
ランニングの最後はダウンウォークに切り替えて、5分ほど息を整えながらゆっくり歩くとよい。
音楽を聴きながら走らない

気分転換でたまに音楽を聴きながら走るのであれば問題ないが、常に音楽を聴きながら走るのは、ランニングの上達を妨げるのでおすすめできない。
音楽を聴きながらでは、自分のリズムやフォーム習得の妨げになってしまう。とくにランニングを始めたばかりの人は、風を切る音や着地の音などに意識を向けながら走り、自分のペースやリズムをつかむようにしよう。
いきなりトレッドミルは使用しない

結論として、トレッドミルはランニングの練習のためのものであって、ランニングとは別物と考えたほうがよい。
ある程度ランニングに慣れている人がやる分には問題ないが、正しいフォームを身につける前にやってしまうと、足が後ろに流れてしまい、踏み込みが甘くなってしまう。
また、ランニングで重要な重心移動を身につける妨げにもなるので、ランニング初心者の人がいきなり使用するのはおすすめしない。
ランニングが恥ずかしいと感じる人へ

人と合わない朝の早い時間に走るのも1つの方法ではあるが、朝は身体が起きていないので、運動初心者の人はケガのリスクが高まるといったデメリットもあるので注意が必要。
人に見られるのが気になる場合は、サングラスをして走るのも1つの方法(目の紫外線対策としても重要)
とはいえ、ストレッチやスイッチをしっかり続けると自然とキレイなフォームで走れるようになり、自信がついてくると恥ずかしさもなくなってくる。

監修者:青山
ランニングにこだわらないのであれば、アクアビクスや水中ウォーキングをやってみるのもおすすめです。水中だとほかの人に見られることがないので、そういった意味でも人気が高い種目です。

検証者:長井
実際に外の景色を見ながら走っていると、ほとんどすれ違う人のことは気にならなかったです。
自分が思っているより、他人はほとんど見ていないんだなと思いました。












































1974年東京生まれ。千葉県立八千代高校から日本体育大学に進み、トライアスロン競技をスタート。在学中よりプロ活動を開始して世界中を転戦。25歳からコーチに転身し、2004年アテネ五輪では、女子トライアスロン選手を日本代表に送り出した。
その後、パーソナルコーチングシステム「TeamAOYAMA 」を立ち上げ、アスリートから一般社会人、学生、子ども、シニア、タレント、財界人などへ幅広く「正しい走り方」を中心に運動指導を行っている。
現在は企業での健康経営や健康寿命延伸セミナーのオファーが多く、子どもの発育発達を促進する「スイッチマン体操教室」も全国の学校や保育園で開催している。著書は度々部門別ベストセラーを獲得中。詳しくは青山剛公式HPで紹介。