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加工食品でなく自然食品を摂取したくなる!私たちの身体を支えてくれる「核酸」の話【フォーデイズ】

遺伝子の本体であり、私たちの身体の基礎的なはたらきを支える、どんな生物にも含まれる成分である核酸。タンパク質から細胞の生成、免疫機能にまで関わる重要な存在にも関わらず、加齢にともない減少してしまうそう。今回は、核酸についてフォーデイズの須藤さんに詳しくお話を伺った。

須藤 慶太さん

フォーデイズ株式会社 次世代核酸ラボFD 研究統括リーダー

2003年東京都立大学大学院理学研究科博士号(理学)取得/2003年農研機構・北海道農業研究センター・日本学術振興会特別研究員/2006年カリフォルニア大学リバーサイド校・博士研究員/2008年九州大学大学院・学術研究員をへて、2011年株式会社ライフ・サイエンス研究所学術研究部・主席研究員、2018年フォーデイズ株式会社次世代核酸ラボFD研究統括リーダー(現職)に。2021年から、東京農工大学客員准教授、2024年、客員教授を兼任。

専門は分子栄養学、植物生理学、エピジェネティクス。

本記事のリリース情報

WEBメディア「Wellulu」にインタビュー記事が掲載されました

目次

粉ミルクにも含まれる栄養成分・遺伝子の本体「核酸」とは

──本日はよろしくお願いします。まず核酸とはどんな成分か教えていただけますか?

須藤さん:はい、核酸には大きく分けるとDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)の2種類がり、これら総称して核酸と呼びます。

2種類の核酸のうち、最初に発見されたDNAは、細胞の中にある核という部分に存在し、酸性の物質であることから核酸と名付けられました。人間の身体は約35兆個の細胞で構成されており、そ細胞核の中に染色体として折りたたまれてDNAが含まれています。RNAは主に細胞質に存在しています。

──核酸は体内でどのような役割があるのでしょうか?

須藤さん身体を構成する基本的な成分はタンパク質です。筋肉や骨、皮膚など、私たちの体を形づくるだけでなく、酵素や抗体、一部のホルモンなど、生命活動を支えるものの材料としても重要な役割を果たしています。核酸はこれらすべてのタンパク質の合成に関わっています。

タンパク質を体内で合成するには、20種類のアミノ酸が特定の順番と長さで結合される必要があります。そのためには食べ物からアミノ酸を摂取する必要があります。食べたタンパク質は胃で小さく分解され、アミノ酸にまで分解されて体内に吸収、そしてタンパク質に再合成されます。

遺伝子はこの体内でのタンパク質合成の「設計図」であり、その情報を保持する物質が核酸です。遺伝子の情報はDNA(デオキシリボ核酸)という核酸に載っているため、その情報に基づいてどのタンパク質がどこでどのように作られるかが決定されるのです。

DNAはタンパク質の設計図・RNAはタンパク質を組み立てる大工さん

──DNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)のそれぞれの役割や違いを教えていただけますか?

須藤さん:まず、DNA(デオキシリボ核酸)はタンパク質の設計図としての役割を果たしており、遺伝情報を保存しています。たとえば、家を建てる設計図と考えてください。この設計図が間違っていたり破れていたりすると大変なことになりますよね。同様に、遺伝子が壊れていると、タンパク質も間違ったものができてしまいます。そのため、DNAは安定している必要があります。

一方、RNA(リボ核酸)はその設計図の一部をコピーして、必要な場所へ運ぶ役割を持っています。

先ほどの家を建てる際の例を用いると、RNA(リボ核酸)は設計図のコピーを必要な大工さんに渡すようなものです。これにより、設計図全体が壊れるリスクを避けつつ、必要な情報を伝えることができます。

RNAの1つ目の役割は遺伝情報をコピーして運ぶこと、2つ目の役割はそのコピーをもとにアミノ酸をつなげてタンパク質を作ることです。

── なるほど。では実際にタンパク質の合成ではどのようなことが起こっているのでしょうか?

須藤さん:DNA(デオキシリボ核酸)は、A、T、G、C4種類の塩基を持つ「ヌクレオチド」という分子から構成されており、このヌクレオチドを組み合わせた配列遺伝情報を持っています。RNA(リボ核酸)れらの配列をコピーします。そして、RNA(リボ核酸)の配列に基づいてアミノ酸が順序よく結合され、タンパク質が合成されます。

たとえば、「ATG」という配列の場合、それはメチオニンというアミノ酸を指し、「AAT」という配列はロイシンというアミノ酸を指すことになります。RNA(リボ核酸)はこのようにして、DNA(デオキシリボ核酸)の情報をアミノ酸の配列に翻訳し、そのアミノ酸をつなぎ合わせてタンパク質を合成します。

また、RNA(リボ核酸)はその役割を果たしたのち、適切なタイミングで分解されることで細胞内の調整を行います。

核酸は免疫や成長に重要な役割を果たす

須藤さん弊社が核酸に注目するようになった背景には、まず、核酸が栄養として特定の分野では広く認知されていたという事実があります。

日本の医療制度ではあまり馴染みがないかもしれませんが、欧米では手術前後のいわゆる周術期において、患者さんは体力や免疫力が低下するため、体調・栄養管理が非常に重要視されています。この際、免疫を調整するための経腸栄養剤があるのですが、これには核酸が含まれているんです。

さらに、身近なものでは、乳幼児の粉ミルクにも核酸が含まれているんですよ。

かつては粉ミルクに核酸が含まれていなかったため、赤ちゃんに下痢やアレルギーが多く見られました。しかし、母乳の成分を調べた結果、核酸が重要な役割を果たしていることがわかり、それを粉ミルクに配合することで健康問題が改善されました。

こうした背景から、核酸は栄養素として、免疫や成長に重要な役割を果たすことが明らかになりました。私たちは、この核酸が健常者の健康維持に貢献する可能性が高いと考え、製品開発に取り組むことになりました。

──粉ミルクにも入っているとは!知らないだけで小さなころから核酸を摂取しているのですね。免疫が低下している時期にとくに利用されてきたんですね。

須藤さん:そうです。核酸は免疫調整以外にも多くの機能性があると考えています。たとえば、私たちが大学の先生と進めている共同研究では、脳機能の向上に貢献する可能性なども示唆されています。

核酸は身体の設計図である遺伝子の材料であるため、その影響が身体全体に及ぶのは理にかなっていると思っています。

核酸が私たちの健康にもたらすもの。老化や免疫との関わり

── 核酸の減少の要因にはどんなものがあるのでしょうか?

須藤さん:核酸、とくにRNA(リボ核酸)は加齢ととも減少すると報告されています。たとえば、脳内のRNA(リボ核酸)についての過去の研究では、20代と60代の脳内RNAの量を比較したところ、加齢にともない減少していることがわかりました。

減少の理由として考えられるのは、まず、年齢とともにタンパク質を作る頻度が減少するため、RNA(リボ核酸)の必要性が低下し、それにともなってRNA(リボ核酸)も減少することです。

また、細胞の数は成人の場合、約35兆個といわれていますが、60代になるとその数は約20兆個に減少するという報告があります。細胞が減少すれば、当然その中に含まれるRNAやDNAもおのずと減少します。

── 加齢が影響しているのですね。核酸の減少によって健康にどのような影響があるのでしょうか?

須藤さん: 核酸の減少、つまりは、細胞の数が減ることで、身体の機能が衰えることが、老化が進行する1つの原因と考えています。これを防ぐためには、核酸の減少、つまり細胞数の減少を緩やかにすることが重要です。これがアンチエイジング、つまり抗老化につながると考えています。

── では、核酸の減少を防ぐにはどのような方法があるのでしょうか?

須藤さん: 細胞の数を維持することが求められます。実際に、核酸を外部から供給することで細胞の増殖が促進されるという研究結果もあります。ただし、これが実際の生体内でも同様に機能するかどうかは、現在進行中の研究で確認しているところです。

オートファジーの活性化やストレス改善にも期待!

──最近の研究・トピックを教えていただけますか?

須藤さん: 最近とくに注目しているのが、オートファジーと細胞の健康維持や老化の関係性です。オートファジーは細胞内の不要な成分を分解し、リサイクルする機能です。アルツハイマー病などの疾患では、アミロイドβという物質の蓄積が関係していると言われていて、これはオートファジーの機能低下によるものだと言われています。それに対して、核酸(DNA)が含まれるサケ白子抽出物を摂取することで、オートファジーの機能を活性化できる可能性がわかってきました。

── オートファジーの機能を活性化し細胞の健康維持や老化防止につながるのですね。

須藤さんオートファジーはさまざまな疾患だったり、それから身体の維持に関わっており、その中でも老化に深く関係していると言われていて、それを核酸で活性化できるならば、核酸の入った食品を摂取することで健康寿命を少しでも伸ばすことができるんじゃないかなって考えたりもしています。

── 核酸って、すごい可能性を秘めた成分なのですね。他にも核酸の摂取による影響でわかっていることはあるのでしょうか?

須藤さん:ストレスにもよい影響を与える可能性があります。現代において、ストレスがかからない人なんていないので、核酸を摂取することで健康維持・増進に役立つことはあるんじゃないのかなと思ってます。

── まだまだ核酸自体を知らない人も多いかと思います。

須藤さん: 核酸はまだ広く認知されていない成分ですが、その重要性を広めるために、弊社では栄養素としての核酸の普及と商品開発の両面で取り組んでいます。現在、17の大学の研究室と共同研究を行い、核酸の栄養学的な機能性を科学的に証明するためのエビデンスを集めています。これにより、核酸が科学的にも栄養素として認知されるようになることを目指しています。学習機能や脳の健康に関する研究もおこなっていて、マウスの試験では、核酸が学習機能を向上させる可能性が示されています。また、人を対象とした試験でも、核酸を摂取することで活力が増したという結果が得られていますし、体のエネルギー通貨と呼ばれる「ATP」の産生促進することわかってきています。これにより、核酸には体力や脳の活性化に寄与することが期待されています。

加工品より自然のままの食品がよい?効率的な核酸の摂取

── 核酸の効率的な摂取方法を教えてください。

須藤さん: 核酸の摂取方法は、量だけでなく形も重要だと考えています。たとえば、タンパク質を摂取するとき、すべてがアミノ酸になるわけではなく、一部はペプチドという形で身体に吸収されます。最近の研究では、ペプチドは健康にさまざまな効果があり、高血圧を抑制する効果などが知られています。

── 摂取する形が重要というのは興味深いです。

須藤さん: 核酸を摂取すると、体内で主にヌクレオチドやヌクレオシドという形に分解され、吸収されます。最近の研究では、オリゴヌクレオチドの状態、つまり複数のヌクレオチドが結合した形で摂取すると、特定の健康効果があることがわかってきました。これにより、ペプチドと同様に、核酸も特定の形、つまりヌクレオチドやオリゴヌクレオチドという形で摂取することで、体内での吸収や利用が最適化され、健康効果を最大限に引き出すことができるのではないかと考えています

── 核酸が多く含まれている食品にはどういったものがあるのでしょうか?

須藤さん: 核酸は地球上のすべての生物が持っているため、肉、魚、野菜など、どんな食べ物からも摂取できるんですよ。動物、植物、ウイルスに至るまで、すべての生物に核酸は含まれています。特に、サケの白子はDNA(デオキシリボ核酸)を多く含む食品の1つです。さらにほかの有効成分も多く含まれているため、非常に栄養価が高い食品です。一方、RNA(リボ核酸)が多く含まれている食品には肝臓や大豆などがあります。

── 核酸が多く含まれる食品にはどのような特徴があるのでしょうか?

須藤さん: 精白米や生成した小麦などのような精製された食品は少なくなっています。精製された食品よりも、玄米や全粒粉パンのような自然に近い食品のほうが核酸を多く含んでいます。玄米は白米と比べて核酸の量が多く、核酸を効率的に取り入れられ、健康維持に役立ちます。

── なるべく加工されていないものがよいのですね!

須藤さん: はい、私自身も玄米などを選ぶようにしています。また、全粒粉のパンや天然の野菜なども意識的に食べるようにしています。こうした食品を食べることで、核酸だけでなく、他の栄養素もバランスよく摂取できるようにしています。

Wellulu編集後記:
加齢にともない核酸は減少し、老化への影響があったり、身体の基礎的な部分であるタンパク質の合成や細胞の生成など、私たちの健康に関わりが深く、重要な成分であることがわかりました。基礎的な部分を支えているからこそ、現在わかっている以上の部分にまで影響があるのではないか、とのこと、今後の研究に期待をしたいと思いました。

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